
川口成彦 フォルテピアノ サロンコンサート
~ フランダースの作曲家のピアノの夜会 ~
大変珍しい19世紀フランダース楽派のプログラム。
フランダースの作曲家の音楽遺産を後世に残すべく活動している研究機関Studiecentrum voor Vlaamse Muziek (SVM)の企画で2022年にリリースしたCD『月の光に』をきっかけに、それまで全く知らなかったフランダースの作曲家の音楽が私にとって身近なものになりました。フランダースと言えば「フランダースの犬」しか頭に浮かばなかったような自分にとって、フランダースの音楽作品に取り組むお話を頂いたことは特別なご縁を感じています。そして今年はCD『別れ』が新しくリリースされる予定ですし、今後も録音プロジェクトは続きそうなので、今後もフランダースのピアノ音楽に関われることに胸が高まります。
フランダースの作曲家のみで演奏会を行うのは貴重な体験であり、SVMの方々も日本でフランダースの作品が演奏されることに大変喜んで下さっています。皆様といつもと違った音楽時間を過ごせること楽しみにしています。
― 川口成彦
■日時:2025年5月16日(金)
【昼公演】開場 13:30 開演 14:00
【夜公演】開場 18:30 開演 19:00
■場所:タカギクラヴィア 松濤サロン (渋谷区松濤1-26-4)
■料金:4,000円 50席限定(全席自由)
■使用ピアノ:1841年製 エラール Erard #15179(タカギクラヴィア所有)
1841年8月に完成、レンヌ在住のラングロア夫人が購入 CからGまでの80鍵
マリー・アントワネットの楽器係だったエラールは、フランス革命のころ楽器製造拠点をロンドンに移し、イギリス式アクションをさらに発展させた「ダブル・エスケープメント方式」を発明しました。それにより同音連打が可能になり、ピアノ表現の多様さ、テクニックは飛躍的に発展。リストを広告塔として超絶技巧の楽曲で聴衆を熱狂させました。
また弦の下から音を止める「アンダー・ダンパー・システム」を考案。若干の余韻を残しながら柔らかく止音することができるため、余計な和音の濁りがなく、ノン・レガートで軽やかな表現が可能となりました。
しかし、革新的で複雑な構造はメンテナンスも難しく、アクションにトラブルが発生すると、その修正に時間を要しコンサートに支障をきたすこともありました。
一世を風靡したエラールも、1853年ニューヨークに設立された新しいピアノメーカー「スタインウェイ」に、その座を奪われることになります。

■プログラム(変更になる可能性がございます)
E.ティネル(1854-1912):歌 op.7-2
M.ファンデン・ギュイエン (1721-1785):ソナタ ハ長調
J.ブノー (c.1743-1794):「ラ・フュルステンベルグ」の主題による変奏曲 ト短調
J.ブロック (1851-1912):夜想曲
P.ブノワ (1834-1901):幻想曲 第3番 op.18
F. ファンデン・ベルへ (1822-1885):
・シンプルな旋律 op.29
・ピエ=ララ op.24
E.ティネル:別れ op.2-3 他
■チケット
チケットは【SHOPPING】 から、ご購入いただけます。
お問い合わせはタカギクラヴィアまで tel.03-3770-9611
■プロフィール
1989 年に岩手県盛岡市で生まれ、横浜で育つ。第 1 回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位、ブルージュ国際古楽コンクール最高位。フィレンツェ五月音楽祭、モンテヴェルディ音楽祭(クレモナ)、「ショパンと彼のヨーロッパ」(ワルシャワ)などに出演。協奏曲では18世紀オーケストラ、{oh!} Orkiestra Historycznaなどと共演し、2023年には神奈川フィルハーモニー管弦楽団の弾き振りも行う。東京藝術大学楽理科卒業後、同大学およびアムステルダム音楽院の古楽科修士課程修了。フォルテピアノを小倉貴久子、リチャード・エガーの各氏に師事。第46回日本ショパン協会賞、第31回日本製鉄音楽賞 フレッシュアーティスト賞受賞。CDは自主レーベルMUSISによる『ゴヤの生きたスペインより』(レコード芸術&朝日新聞特選盤)など。